2017/01/13 2017/10/16

CPU放熱グリスの除去(落とし方)

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古いCPUグリスの落とし方について説明します。

基本的にCPUグリスは、冷却クーラーを交換したり、高性能グリスに変えるなどの理由がない限り塗り直す必要はありません。
CPUグリスは経年劣化するとして「定期的に塗り直しましょう」とするアドバイスも多いのですが、これは間違い。CPUグリスは経年劣化によって性能が低下することはないのです。

柔らかいグリスは拭き取るだけでOK

グリスが柔らかい状態なら不織布などで拭き取るだけできれいになります。
普通のティッシュでも大丈夫。でも、ふわふわとした繊維クズが出てしまうので、できればキムワイプのような不織布を使うとベスト。

↓まだ柔らかい状態のCPUグリスなら拭き取るだけでOK。
(右側は拭いただけのモノ。ヒートスプレッダの表面に若干グリスの跡がありますが油などが付いていなければ基本的にこの状態で大丈夫です。)

固化したグリスの除去にはアルコール?

4、5年経過した冷却グリスは石膏のように固まってしまいます。
完全に硬化してしまうと石膏のようになり爪で引掻かかないと落ちません。(グリスにもよります)
表面に硬化したグリスが残っていると表面に凹凸ができるので、CPUクーラーが密着しなくなります。

↓7年経過したCPUグリス。完全に硬化しています。

そんなときは「アルコール」を使うと簡単に落とせるのですが、一般に言う消毒用の無水エタノールや燃料用のメタノールは油を溶かす能力が低いため、固着したCPUグリスを溶かすほどの溶解力はありません。

実は、アルコールにもいろいろな種類があり、CPUグリスを溶かすにはIPA(イソプロピルアルコール)と呼ばれるアルコールを使います。こちらはメタノールよりも炭素鎖が長く、油を溶かす能力が非常に高い溶剤です。
左:IPA 右:燃料用エタノール

他のWEBサイトを見ると、「エタノール入りのウエットティッシュが役立ちます。」などという情報を目にしますが、実はほとんど溶けていないので単にこそぎ落としているだけだったりします。

 

固まったグリス除去には灯油が最適

IPAはシリコンを含む油がよく溶けるのですが、一方で揮発性が高く、グリスが溶ける前に乾いてしまいます。しかも毒性が強いのあまり使わないほうが良いです。

そこでおすすめするのが灯油。
灯油はIPA同様にシリコンを溶かす性質があるので、固まった冷却グリスを溶かしながら除去することができます。加えて揮発性が遅いので

拭き方は必ずティッシュなどにを染み込ませて拭きます。CPU本体に直接かけてはいけません

臭いは気になりますが、灯油で拭くと新品同然にきれいになります。

禁止事項

CPUグリスは熱伝導性を高めるために金属を混入させているものもあります。
CPUに直接IPAや灯油をかけると、伝導性の物質が溶け出し、ヒートスプレッダの隙間から基盤に入ってしまうことがります。すると、CPU内部でショートすることもありますから絶対にNG。

また、どこかのサイトで接点回復剤を使ってCPUグリスを掃除している方がいましたが、接点回復剤の中には導電性の物質が入っている製品もあるので、最悪CPUがショートします。
また、CRC(クレ556)はプラスチックを侵す成分(プラスチックが脆くなる)が入っているので、こうした成分が入っていると思われるクリーナーも避けるべきです。
同様の理由でパーツクリーナーも避けたほうが無難です。

ポイントまとめ

・柔らかいグリスは乾拭きでOK 必要以上にきれいにする必要は無い。
・クリーニングに用いる溶液は灯油でOK よく分からない残留物質が残る物は避ける。
・溶液を直接CPUにかけない

以上が大まかなポイントです。グリスを掃除するときは是非参考にしてください。

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