SSDの選び方
スポンサーリンクSSDとはフラッシュメモリを利用した記憶装置。
高速アクセスと耐衝撃性能に優れています。一方で容量あたりの単価はHDDと比べると割高で、大容量のストレージとして利用するにはコストパフォーマンスの悪いメディアです。
【HDDの選び方】はこちらを参照
SSDの長所と短所
SSDを選ぶ前に長所と短所を理解し、適切な使い方をしましょう。
SSDの長所
- アクセス速度が速い
SSDはHDDと比べて「連続アクセス」・「ランダムアクセス」ともに高速という利点があります。特にシステムディスクとして用いることで、OSやソフトの起動時間が劇的に改善します。
下記の棒グラフはSSDとHDDの読み込み速度を比較したものです。連続アクセス・ランダムアクセスのいずれもSSDが桁違いの速度が出ていることがわかります。ランダムアクセスの性能差は単純計算で780倍の速度差が確認できます。
- 耐衝撃性能が高い
SSDは電子回路のだけで作られているので耐衝撃性能も高いことが特徴。HDDはアクセス中に振動を加えると、プラッタとヘッドが接触して傷つく恐れがありますし、落下による衝撃で軸が曲がってアクセス不能になることもあります。
駆動部品のないSSDは人の手の高さから落とした程度では故障することはありません。 - 動作音が無い
駆動部品が無いので動作音や振動ががありません。
SSDの短所
- 容量あたりの単価が高い
SSDは安価になってきたとは言え、まだまだ容量あたりの単価が高く、HDDのように大容量を搭載すると非常にコストがかかります。 - データの長期保存には向かない
SSDはフラッシュメモリは記録に電子を用いているため、時間とともに電子が抜けてしまいます。
劣化していない状態のSSDでさえ、5年から10年も放置するとデータが消えてしまう恐れがあります。
SSDについて詳しく知ろう
SLC・MLC・TLC
SSDの記録方式により、SLC・MLC・TLCの3タイプがあります。
- SLC
一つの記録セルに0と1の2段階の電圧レベルで記録する方式をSLCと呼びます。
1セル=1bitになるわけですね。
書き換え可能回数・アクセス速度・データ保持耐久性いずれも3タイプの中で最も有利な記録方式です。非常に信頼性の高い記録方式ですが、大容量化が難しく2010年頃から徐々に姿を消し、現在のメインストリームはMLCやTLCタイプになっています。 - MLC
一つの記録セルに4段階の電圧レベルを用いて記録する方式で、2bit分のデータを記録できます。
1セル=2bit
一つのセルに4段階の電圧レベルを保持するため、セルが劣化したり電子が抜けてしまうとでセルの電圧差が曖昧になりやすいという欠点があります。
このため、書き換え可能回数・アクセス速度・データ保持耐久性のいずれもSLCより劣ります。
ただし、同じサイズのSLCと比較して2倍のデータ容量を確保できるという利点がります。 - TLC
1つのセルに8段階の電圧レベルを用いて記録する方式。
1セル=3bit
考え方はMLCと同様。記録容量は更に改善できる一方、データ・メディアの耐久性は犠牲になっています。
接続規格
SSDの接続規格にはS-ATA・mSATA・M.2・PCI Expressの3タイプの接続規格があり、それぞれサポートする通信速度に違いがあります。
規格ごとにサポートしているアクセス速度
規格 | 通信速度 |
---|---|
SATA3.0 | 600MB/s |
USB3.0 | 500MB/s |
PCIe3.0 | 1GB/s |
PCIe3.0 ×4 | 4GB/s |
S-ATA/mSATA接続
HDDや光学ドライブを接続するための規格。
S-ATAとmSATAは物理的には異なるスロット形状ですが、同じ規格の信号を利用した接続方式で、電気的に見れば同じ規格です。S-ATA1.0~S-ATA3.0までの規格があります。
もともとHDDや光学ドライブをサポートする規格だったため、最大600MB/sの通信速度をサポートしています。
M.2
M.2は新規格の接続方式でSATA3.0、USB3.0、PCI Express3.0の3種類のバス方式となり、いずれとも内部互換性を備えています。(ソケット形状は異なるのでソケット形状の互換性はありません。)
PCI Express3.0は4レーン備えているので最大PCIe×4相当の通信速度までサポートしています。
S-ATAの通信規格を超えたSSDに採用されています。
M.2スロットはマザーボードによっって搭載していないことがあります。M.2SSDを使用するにはマザーボードにM.2スロットがあるか確認しましょう。
PCI Express
拡張カードのようにPCI Expressスロットに直接接続するタイプのSSDです。
M.2スロットのないマザーボードにもPCIeスロットは搭載されているので全てのマザーボードで利用することができます。ただし、1.0~3.0の3世代の規格があり、SSDには通常PCI Express3.0が用いられています。
適合スロットはPCI Express3.0×1またはPCI Express3.0×4を利用する場合が多いので、マザーボードにはPCI Express3.0×16スロットの空きがあると全てのPCIeに対応できます。
NVMe
NVMeは、PCI Expressの通信方式を利用してSSDを接続する為の専用の規格。
PCI Express、M.2タイプのSSDで採用されています。
この規格の策定以前からPCI ExpressのSSDはありましたが、HDDを想定したAHCIで接続していました。AHCIは互換性は高いものの、HDDを想定していた規格なのでSSDの接続には非効率な通信規格です。そこで、SSDの性能特性に最適化した規格が策定されました。
現在、PCI Expressの通信規格を利用するSSDは全てNVMe規格となっています。