2017/08/23 2017/09/12

CPUの選び方

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CPU

CPUとは、コンピューターの中央処理装置(Central Processing Unit)のことです。
パソコンの性能を大きく左右する重要なパーツなので、CPUの基礎知識や、選び方のポイントなどをまとめました。

CPUの役割

入力装置や記憶装置からデータを受け取り、演算・処理して出力装置や記憶装置に出力します。
難しく書きましたが、要するに人間で言う「」の部分に当たるのがこのCPUです。
パソコン全体の処理や演算を行う重要な備品ですから、当然CPUの性能がよいほどパソコン全体のスペックが向上します。自作PCのパーツを選ぶときは、まずCPUを基準にしてパソコン全体のパーツ構成を考えます。

CPUは四角形のチップになっていて、「ソケット」と呼ばれるCPUを取り付ける規格さえ同じなら換装することが可能。(一部のベアボーン機や、小型マザーボードにはCPUが半田付けされていているものがあり、その場合は交換不可能)

CPUメーカーによる特徴

CPUはIntelとAMDの2つのメーカー開発しています。
それぞれCPUの性能に違いがるので簡単に比較してみました。

Intel製CPU

intel

基本性能
Core iシリーズが主力のラインナップです。
省エネ性能に優れ、1コア当たりの処理性能が高いことが大きな特徴。
Core i3、Core i5、Core i7、Core i9のブランドがあり、目的や用途に合わせて豊富なラインナップから自由にパーツを選ぶことができます。
自作パソコンの定番ともいえるCPUです。

内蔵GPU性能
グラフィック性能を左右するGPU性能はAMDと比較すると劣っています。
GPUの処理能力が足りない場合はグラフィックボードを増設して性能を補うことで性能を向上させることができます。

価格
価格はブランド力が強く、同性能のAMDよりも割高です。
AMD製のRyzenの登場でIntel製CPUは値下げせざるを得ない状況になり、価格差は収束する傾向になります。

AMD製CPU

AMD

基本性能
Ryzenシリーズが主力ラインナップです。天才ジム・ケラーがAMDに戻って設計したことでも知られています。
それまでのAMD製CPUは性能が低く、ハイエンドクラスではIntelの独壇場でした。この状況を一気に覆したのがジム・ケラーの設計したRyzenです。
Ryzen3、Ryzen5、Ryzenの3つのブランドがあり、いずれもIntelを意識したネーミングとなっています。
1コア当たりの処理性能はIntel製CPUと比べて劣るのですが、コア数が多く並列性能が高いことが大きな特徴。

特に並列処理の恩恵を受けやすいゲームやエンコードなどで有利になるCPUです。
ゲーム以外でも、並列処理に対応したソフトウェアが徐々に増えてきており、ますますAMD製のアドバンテージも高まりそうです。
一方で省エネ性能はIntelと比べると、僅かですが劣っています。

内蔵GPU性能
グラフィック性能を左右するGPUですが、Ryzenには搭載されていません。グラフィックボードの増設が必要です。

価格
価格は割安で、Ryzen7が登場した時はIntelの同性能CPUの半値ほどの価格でした。
現在はIntelがCPUを値下げしているため、さほど大きな価格差はありません。

CPUの型番の読み方

Intel製CPUもAMD製CPUも基本は同じ表記です。
AMDはAPUシリーズまでは世代の表記はありませんでしたが、Ryzenシリーズから世代表示されるようになり、Intelの表記を意識していることがうかがえます。
最初の文字がシリーズ名を表し、次いでCPUの世代、性能、規格という順に型番を読み取ります。
規格は無記名の場合もあります

Intel Coreシリーズ

Intel製CPUの型番の読み方

AMD Ryzenシリーズ

AMD製CPUの型番の読み方

規格の意味(一例)

  • X … 最上位モデル
  • K … 最大クロックが解除されたモデル
  • R … 高性能グラフィック内蔵モデル
  • S … パフォーマンス重視の省電力モデル
  • T … 電力性能重視の省電力モデル
  • HK … 高性能グラフィック・クロック解除モデル
  • H … モバイル向け高性能グラフィック内蔵モデル
  • Mモバイル向けモデル
  • Y/U … 超低消費電力モデル

CPUを選ぶポイント

CPUを選ぶ際に必要となる、基本的な性能について説明します。

クロック周波数

CPU の命令実行タイミングのことで、一秒間に何回の処理を実行できるのかを表しています。
一秒間に6回命令を実行できれば6Hz、3回なら3Hzとなります。
周波数の説明

CPUのクロック周波数も、2.0GHzや、3.4GHzの様に周波数「Hz」によって記されていて、同世代、同シリーズのCPUなら基本的にクロック周波数が多いほど処理速度も向上します。
客観的な数値として比較することができるので非常に有用な要素です。

ただし、コアの数やスレッド数、CPU設計の最適化によって性能が大きく向上します。
新型のCPUはクロック周波数の高い旧式CPUより、総合的な性能が高い場合もあり、単純にクロック周波数だけで性能を比較することはできません。

昔のCPUは、「Pentium4 3GHz」←このようにモデルナンバーに周波数が記入されていて一目で性能が分かるようになっていました。
しかし、最近のCPUは、「Core i7 7700」←このようなモデルナンバーで表記されていて、 このCPUが一体何GHzなのか分かりません。モデルナンバーは「CPUの型番の読み方」で解説しています。
(このCPUは3.6GHz、モデルナンバーの7700が全く関係ない数字です。)

このようなややこしい表記方法には、高クロック化の限界と、クロック周波数以外の要因が性能を大きく左右するようになってきたためです。
Pentium4までは、新製品が登場するたびにクロック周波数が速くなっていました。ところが、これ以降に発売された新型CPUはクロック数の上昇は止まり、高クロックモデルでさえ3GHz後半ほどとなっています。
同じようなクロック数のモデルが乱立するので、製品名に採用するのは好ましくないというのが一つの理由。

もう一つの理由は、クロック数がCPUの性能を左右する決定的な要因ではなくなった事。
最新のCPUは演算の並列化による性能向上を重視しているので、クロック数が高いモデルよりも、並列化や、内部回路を最適化したモデルの方が高性能という逆転現象が当たり前に起きます。
結果的に、クロック数をモデルナンバーにすると、誤った認識をユーザーに与えてしまう恐れがあるからです。

ただし、モデルナンバーには世代・性能・規格という情報が含まれているので、読み方を知っていれば相対的にCPUの性能を読み取ることができます。

コア数

コア数とは、CPUの”メイン回路の数”のことです。
コアが一つしかないCPUをシングルコアと呼び、2つ以上のコアが搭載されたCPUをマルチコアとよびます。マルチコアCPUは一つのCPUの中に複数のCPUが内蔵されていると考えることができます。現行のパソコン向けCPUは複数のコアを搭載したマルチコアCPUが主流で、シングルコアCPUは2006年以降登場していません。

CPUのコア数

マルチコアCPUは、コアが2つ搭載されたものをデュアルコア、4つ搭載したものをクアッドコアと呼びます。現在、10コア搭載したモデルも登場し、これからはどんどんコア数が増えていくと思われます。
デュアルコア、クアッドコアという呼び方は使われなくなるでしょう。

マルチコアのメリット

純粋にコアが多ければ情報処理の効率が高まり、処理速度が向上します。
特にソフトウェアがマルチコアに対応している場合、処理速度は飛躍的に向上します。一方で、マルチコアの性能をフルに使うにはソフトがマルチコアに最適化されている必要がります。マルチコア非対応のソフトウェアでは十分な性能が出せない場合があり、単純にクロック周波数の高いシングルコアCPUの方が処理が速いこともあります。

マルチコアのデメリット

コアが増えると消費電力や発熱量も大きくなります。発熱量が増えると冷却ファンの回転数を速くしたり大型のヒートシンクが必要になります。そこでパソコン性能が必要ないときはあえて性能の低い省電力CPUを選ぶこともあります。(CPUの発熱量はパソコンの静音性に影響します。)

スレッド数

スレッド数とは一度に処理を実行できる数のことです。
基本的にスレッド数=コアの数なのですが、Intelの「Hyper-Threading」は、一つのコアに2つの処理を実行させ、仮想的に複数のコアとして利用する技術があります。

スレッド数が多いほうが、同時に複数の処理が実行できるので効率的にCPUを使うことができます。
考え方はマルチコアと同じなのでメリットもほぼ同じです。

高スレッドの利点は、演算処理の分散化と並列処理。
ネットサーフィンをしながら、MP3で音楽を聴いたり、一台のパソコンで同時に複数の処理を行うケースが多いと思います。このように、複数のアプリケーションを同時に動かす時、スレッドが一本しかないと同時に複数の処理ができないため、処理待ちのプログラムが発生してしまい、極端にパフォーマンスが低下します。
マルチスレッドなら、複数の処理を同時に実行できるので処理待ちのプログラムが最小限となり、常に一定のパフォーマンスを発揮することができます。

↓マルチスレッドによる処理の並列実行のイメージ
※解り易くする為にデフォルメしています。本来は一つのソフトウェアがスレッドを独占しているわけではありません。

 

CPUの専門用語

内蔵GPU性能とは

GPUとはグラフィック処理ユニットのことで、リアルタイム画像処理に用いられ、3Dゲームのグラフィックス処理に大きく貢献する機能です。
そのほかの用途として、動画のエンコードやGPUを利用した解析処理などに用いられ、CPUを利用するより遥かに効率的に計算することができます。

CPUとGPUの違いは一言で説明すると下記の通り

  • CPU・・・一つの複雑な計算を高速に処理する装置
  • GPU・・・簡単な演算を大量に並列処理する装置

最近の話題なら、仮想通貨のマイニング用に特化したグラフィックボードが発売されるなど、GPUの並列演算性能を画像処理ではなく、一般的な計算に活用するという流れがあります。

キャッシュメモリ

CPUはメモリなどのチップセットと比べ、数倍の速度で動作しています。そのため、CPUの演算結果をいちいちメモリに書き込んでいると、CPUが長い時間待たされることになります。そのタイムラグを軽減しようとするのがキャッシュメモリと呼ばれるものです。キャッシュメモリはCPUの動作速度と同等の速さで動作するためタイムラグが発生しません。
ただし、CPUに組み込む為、容量は大きくありません。CPUのキャッシュは、”容量”の多い、少ない、で性能を評価します。
廉価版との差別化を図るため、キャッシュメモリは製品によって大きく変わり、なお且つ性能にも大きく影響します。

  • 一次キャッシュメモリはCPU内部の根本的な部分に置かれており、パソコンのメモリの中で、もっとも高速に動作することが出来ます。
  • 二次キャッシュメモリはCPUの基板上と、外部メモリとの中間に位置するメモリのことで、一時キャッシュほど高速には動作しませんが、外部メモリよりは遥かに高速で動作します。
  • 三次キャッシュメモリはマルチコアCPUで搭載されています。一次、二次メモリの延長と考えて良いでしょう。

CPUは一時キャッシュと二次キャッシュ、三次キャッシュをうまく使うことで、データ通信のタイムラグを最小限に抑えているので一般的にこのメモリ容量が多いほど、計算速度が上がります。

ターボブースト・ターボコア

マルチコアCPUは負荷がかかっても常に全てのコアを使っているわけではありません。
CPUが一つのコアで問題ないと判断した場合、他のコアが休んでいる事があります。
この休んでいるコアのクロック周波数を使用しているコアに上乗せし、処理速度を向上させる仕組みがターボブースト・ターボコアと呼ばれるものです。

ちなみに、ターボブーストはIntelの呼び方。ターボコアはAMDの呼び方です。

ハイパースレッディング(Hyper-Threading)

Intel社によって開発された、OS上で擬似的にCPUプロセッサを二つあるように見せかける技術です。
1つのスレッドが処理を進めている間には、レジスタやパイプラインなどに必ず空き時間が生じてしまいます。従来はこうした空き時間は無駄になっていましたが、これらのリソースを集めて1つのプロセッサに見せかけることにより、もう1つ別のスレッドの処理を進めるのがハイパースレッディングです。

これにより、2つの異なるアプリケーションを同時に実行したり、1つのアプリケーションを通常のシングルプロセッサマシンより高速に実行することができます。ただし、当然ですが2つのアプリケーションが同じプロセッサ要素(演算器など)を同時に利用できないという制約があり、単純に性能が2倍になるわけではなく、現在はおおむね20%程度の性能向上が期待できると言われています。

ハイパースレッディングに対応したWindows Xp以降のOSで効果が期待できます

 

32bitCPU・64bit CPU

CPUには32bitで動作するタイプと、64bitで動作するものがあります。
現在は全てのCPUが64bitですが、古いパソコンには32bitCPUを搭載したものがあります。
当然64bitで動作するCPUの方が一度に計算できるデータ幅が多いので性能は上です。
具体的には、一回に二進法で32桁(2の32乗)の計算を行えるCPUが32bitCPU、それに対し、64桁の計算を行えるのが64bitCPUです。64bitCPUではCPUがアクセスできるメモリ領域が圧倒的に増加するため、アプリケーションによってはレスポンスが飛躍的に向上します
さらに、メモリの最大使用量が増えることも大きなポイントです。32bitのCPUでは4GBまでのメモリ容量しか認識しませんが、64bitならMax192GBまで対応しています。

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