電源の選び方
スポンサーリンクパソコン用の電源ユニットは、家庭用交流100Vを安定した直流電流に変換する装置。
自作したパソコン構成によって必要な出力は変わってきます。出力が足りないとシステムが不安定になり、場合によってはシステムダウンを招きます。
目次
電源ユニットの簡易出力計算式
ある程度余裕を持った出力電源を選ぶのですが、パソコンの省エネ化が進み、昔ほど電力を消費しなくなりました。
私の経験則で恐縮ですが、下の式に従って出力を決めれば、よほどトリッキーな構成(HDDを5台搭載など)でもない限り問題になることは少ないでしょう。
基本構成【300W】+(ビデオカード【250W】×枚数)+余力【100W】
この式に従って必要な出力を決めていますが、今まで出力不足で問題になったことはありません。
たとえば、ゲームをしないのであれば400W。ゲーミングパソコンはビデオカードの性能(と言うか消費電力)の影響が大きいので一言では言えませんが、ビデオカード1枚挿しなら700Wクラスの電源を選んでいます。
一応、簡易出力計算式は結構余裕を持たせているので、ビデオカードもローエンド~ミドルクラスなら計算から無視して基本構成でユニットを選んだりしていますし、モバイル向け省電力CPUとSSD構成なら150W程度でも十分です。例えばIntelの小型ベアボーン【Core i5 BOXNUC7I5BNH】は65Wのアダプターで動いてしまうのですから驚きです。
※BOXNUC7I5BNHに搭載されているCorei5(i5-7260U)はモバイル向けで、TDP15Wの省電力タイプです。デスクトップ向けCorei5(i5-7600K)などはTDP91Wもありますから、基本は概算値で電源を選んでください。
電源ユニットの規格
一般的な電源ユニットの規格はATX、EPS、SFX、TFX、FlexATXの5種類あります。
このうち、ATXはパソコン向け、EPSはサーバー・ワークステーション向けとされていたのですが、Core2世代のATX Ver2.xからほぼ規格が融合してしまい、現在はATX/EPS両方に対応している電源が主流(と言うかほとんど全て)
ATX/EPS
幅150×奥行き160×高さ86
ATX、MicroATXタイプのマザーバードに対応した電源ユニット。
先の説明の通り、ほとんどの製品がATX/EPS両方に対応しています。
フルタワーやミドルタワーのケースに多く用いられるサイズで、自作パソコンのスタンダードな電源ユニットです。デスクトップ型自作パソコンを組む場合、ほとんどがこの規格の電源を搭載することになります。
SFX
幅125×奥行き100×高さ64
ミニタワーやキューブ型などに採用されることが多い省スペース型電源ユニットです。
ATX電源より二回りほど小さくした形状です。ATX12Vが4ピンだったり、6pin PCI-Express補助電源コネクタが省略されている場合があるので購入する場合はメーカーサイトでコネクタも確認しましょう。
TFX
幅85×奥行き175×高さ65
幅が85mmと細く、スリム型と呼ばれる幅の狭いケースに用いられる電源です。ATX12Vが4ピンだったり、6pin PCI-Express補助電源コネクタが省略されていることが多いです。
FlexATX
幅82×奥行き105×高さ40
TFXを更に薄くしたような形状です。ATX12Vが4ピンだったり、6pin PCI-Express補助電源コネクタが省略されています。
高効率【80PLUS】認証電源
80PLUSとは、80PLUSプログラム(http://www.80plus.org)?が提唱する省電力化規格の事で、電力変換効率が80%以上の電源ユニットに与えられる認証です。
ひと目で変換効率の良い電源ユニットとわかります。
変換効率の良い電源は無駄な電気代がかかりませんし、排熱も少ないので電源ユニットの寿命も長く、加えて静音対策にも貢献します。
ユニット自体は無印品とくらべて多少割高ですが、総合的に見ると決して割高ではありません。
80PLUSのランク
80PLUSには、変換効率のランクに応じて、スタンダード、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、チタンの6段階にに分けられます。
変換効率と80PLUSのグレードの対応表
グレード | 負荷20% | 負荷50% | 負荷100% |
---|---|---|---|
スタンダード | 80 | 80 | 80 |
ブロンズ | 82 | 85 | 82 |
シルバー | 85 | 88 | 85 |
ゴールド | 87 | 90 | 87 |
プラチナ | 90 | 92 | 89 |
チタン | 92 | 94 | 90 |
※単位は%
高効率電源のメリットは以下の3点が挙げられます
単に省エネと言うだけではなく、製品全体のスペックにもかかわってくるので、80PLUSの認証を得た製品かチェックしてから購入しましょう。
- 排熱ロスが少ないので、省電力や静音化が望める
- パーツの熱負荷が少ないので、高寿命化が望める
- しっかり設計しているので良品が多い
電源のコネクタ規格
コンピュータ用の電源にはATX,ATX12V,EPS12V,SFXのように色々あります。
ATX:Pentium 4までに主に使われていた規格。
ATX 12V:ATXに4pin(12V)補助コネクタを追加した規格 。
ATX 12V Ver2.x:Core2以降に登場し現在のスタンダード規格。主出力コネクタが20pinから24pinに変更され、PCI-Express専用コネクタを備えた規格
↑これを選んでおけば間違いない
EPS 12V:サーバーやワークステーション用の規格。
SFX :MicroATX用の規格で、省スペースケースに収まるようにATX電源より小型化した規格。サイズの異なる4種類存在。
- SFX(A) 幅100×奥行き125×高さ50mm
- SFX(B) 幅100×奥行き125×高さ63.5mm
- SFX(C) 幅125×奥行き100×高さ63.5mm
- SFX(D) 幅100×奥行き125×高さ63.5mm
ちなみにATX規格のサイズは、
- 幅150×奥行き140~180×高さ86mm
24pin/20pin マザーボード用メインコネクタ
このコネクタには24pinと20pinのものがあり、今までは20pinのものがメインでしたが最近では消費電力が大きくなっているということで24pinのものが多くなっています。
たいていの場合、24pinの電源は20pinに変換するケーブルが付属しています。。
4pin/8pin 12V補助電源コネクタ
マザーボードに接続する12Vの補助電源コネクタです。
6pin PCI-Express補助電源コネクタ
消費電力が大きいハイエンドPCI-Eビデオカードに接続します。
ビデオカードの動作を安定させます。
4pin ドライブ用コネクタ
HDDや光学ドライブやFDDなどに接続するコネクタで、大きいものと小さいものの2種類があります。
FDDは小さいタイプのコネクタを使用しますが、それ以外のドライブはほとんど大きいコネクタを使用します。
ドライブを多く搭載したい場合はドライブ用コネクタが多いものを選びましょう。
Serial ATAドライブ用コネクタ
S-ATAのHDDに接続する電源コネクタです。
電源出力はBTOを手本にする
電源ユニットの出力は前述の簡易計算で概算することができますが、各々のパソコン構成に合わせて正確に計算したものではないので、場合によってはオーバースペックだったり、逆に不足ている可能性もあります。
自作パソコンに慣れればどうという事はありませんが、初心者にとってやはり正確に計算できない出力計算は不安ですよね。
そこでBTOパソコンの構成を参考にして電源の出力を求める方法があります。
BTOパソコンなら、色々な構成でカスタマイズ出来るので、自作パソコンに近い構成のBTOを探す事は難しくはありません。その構成のパソコンに使用されている電源ユニットを見れば必要な出力がおおよそ分かるというわけです。