2017/09/14 2017/09/15

【決定版】効果的なCPUグリスの塗り方

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CPUの熱を効率的にCPUクーラーに伝えるのが、熱伝導グリスの役割です。

自作パソコン向けに多くのCPUグリスが提供されています。熱伝導性や粘度、価格など様々で、とりあえず、予算内で一番熱伝導率の高いグリスを購入してみるも、粘度が高すぎて塗りにくく、結局あまり変化しなかったという経験は無いでしょうか?

これはCPUグリスの粘度や塗り方が大きく影響していることがあるので、その辺も詳しく説明します。

CPUグリスの熱伝導性

CPUグリスはCPUとクーラーの間にできる、ミクロン単位の空気の層を埋め、効率的に熱を伝える目的で使います。

CPUやCPUクーラーは僅かな凹凸があったり、場合によっては歪んでいるため完全に密着することはありません。
もし、熱伝導グリスを塗布しないと、CPUとクーラーの間には空気が入ります。(図.1参照)空気は非常に熱の伝導性が低い素材(表.1参照)なので、かえって”保温”してしまいます。
すると、いくらCPUクーラーの性能が高くてもクーラーに熱が伝わらず、CPUを十分に冷却することができません。

図.1 CPUグリスを塗布していない状態

表.1 色々な素材と熱伝導率の比較

マテリアル 熱伝導率
420
390
320
アルミニウム 236
84
コンクリート 10
空気 0.024
標準グリス 0.62
Coojag製グリス 7.6
シルバーグリス 9.0
Liquid PRO 82

単位は、W/m・k です。

表.1の熱伝導率を比較したとおり、空気は0.024(W/m・k)と、他の素材の一桁も二桁も伝導率が違います。
一方で、後半は熱伝導グリスになりますが、こちらもあまり良い伝統率とは言えません。それでも空気と比べると2桁以上伝導率が高いので、冷却効果があるわけです。

つまり、できるだけ熱伝導率の高いグリスを使うことがポイントになるわけです。
ちなみに、Liquid Proは水銀のような液体金属タイプのグリスです。熱伝導率が非常に高いグリスですが、電気伝導性もあるので塗りすぎると垂れてしまい、ショートします。また、アルミに侵食する作用があるので、銅製のヒートシンクでなければ使うことができません。

グリスの理想的な量

CPUグリスは厚さも重要なポイント。CPUグリスは薄く塗れば塗るほど、熱の伝わりが良くなります。
熱の伝導性は伝わる距離にも関係してくるからです。例えば、10(W/m・k)のグリスを1mm厚に塗る場合と、1(W/m・k)のグリスを0.1mm厚で塗る場合を比較すると、熱の伝わりやすさはおなじになります。

先の表.1の通り、CPUグリスは金属と比べると熱の伝導率が著しく悪いため、薄く塗るほど熱の伝わりが良いことになります。

薄く塗りすぎるのも良くない。

CPUグリスは、可能な限り薄く塗るのが良いとされていますが、薄く塗りすぎるのもかえってよくありません。
極端に薄いと空気の層が残ってしまい、熱伝導不良を招くからです。

図.2 グリスの塗布が薄すぎる場合の不良

理想としては、CPUとクーラーの隙間を全て埋め、尚且つ必要最低限の塗布量にすること。
でもこれが難しい・・・

図.3 理想的なCPUグリスの塗布

熱伝導グリスの影響

熱伝導率とグリスの厚さについて理解したところで、熱伝導グリスの優劣がどれくらい冷却に影響するのか考えてみましょう。

冷却の影響を調べるには、熱抵抗を求めます。熱伝導率は単なる係数ですが、熱抵抗は単位時間あたりの熱の移動量を数値化したものです。式1によって求めることができます。

熱抵抗 = 距離 / (面積×熱伝導率) ・・・式1

CPUから発生した熱がクーラーフィンまで移動する熱抵抗に対するCPUグリスの比率を出すことで、どれくらい影響力があるのか調べることができるわけです。

CPUコアからクーラーフィンまでの熱抵抗を求めてみました。
ちなみに、CPUコアからフィンまでの熱経路は、以下の通りとなります。
CPUコア→コアグリス→ヒートスプレッダ→CPUグリス→ヒートシンク→フィン

 

 

熱抵抗は

熱伝導グリスの影響を調べるには、熱抵抗によって

CPUからクーラーフィンまでの熱移動について考える必要があります。

つまり、CPUから発生した熱が、CPUクーラーフィンから排熱されるまでの熱抵抗を見ることで

CPUの断面は図.4の用になっています。
基盤の上に乗っているコアがCPU本体で、その周りをヒートスプレッダと呼ばれる放熱板が覆い、その上にグリス・クーラーが乗るという構造になっています。

 

 

■理想的なグリスの塗り方

上の図のようにCPUクーラーとCPUの表面の凹凸がぎりぎり隠れる程度にグリスを塗ります。ヘラなどを使い金属の表面を撫でるように塗るのがポイントです。出来るだけ薄く、金属表面が透けて見えるほど薄く塗ります。

両方きれいに塗り終えたら静かに合わせ、密着させます。
この手順で行えば、簡単に理想的な塗り方が出来ます。

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