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NASのRAIDコントローラが故障してしまった


先日NASのRAIDコントローラが故障してしまいデータにアクセスできなくなってしまいました。

事の経緯

先日、会社から帰るとNASからピーピーピーというエラー音がなっていました。
よく見ると赤いランプが点滅し、非常にヤバイ状態であることがひと目でわかります。

当初、右側のランプが赤くなっていたので、片方のHDDに問題が発生したのかと思いました。
ところが、パソコンからNASにアクセスしても認識しません。どうやらNASのRAIDコントローラに何らかの異常が発生したものと思われます。

この時点でかなり絶望的。ただ、幸いなことに私のNASはバックアップ用だったため、オリジナルのデータは別の外付けHDDに入っていて問題ありません。

なので早速新しいNASを注文したのですが、この状態からデータを取り出せないものかと思い、復旧作業に取り掛かることにしました。

故障したNASからデータを救出する

今回、パソコンからNASをにアクセス出来ないことから、故障したのはNAS本体で、HDDに問題がある可能性は低いと思われます。

(HDDに問題があるとすればRAID1でミラーリングしているHDDが2代同時に故障した場合ですが、確率は低いでしょう。しかもNASの警告ランプがイレギュラーな点灯の仕方をしているため、NASの基盤が故障していると考えたほうが自然です。)

ということは、NASからHDDを取り出してパソコンから読み取ればデータを復元することができるはずです。

NASからHDDを取り出してパソコンに接続

使用しているNASは旧世代のLAN DISK(HDL2-A2.0)です。
電源を切って、アダプターを取り外した状態で分解します。

HDDを交換することが前提のNASなので、HDDの取り出しは簡単です。

HDDを取り出したらS-ATAケーブルでパソコンに接続します。
当然、パソコンの電源を切ってから繋げましょう。
今回はRAID1(ミラーリング)のHDDなので、片方だけ接続すればOK。

ちなみに、RAID0,RAID5はすべてのHDDをパソコンに接続します。
詳しくは「電源が入らない・繋がらない NASからデータを取り出す」参照

Ubuntuを使ってデータを取り出す

NASで利用しているフォーマット形式は、xfsという特殊形式で、WindowsにHDDを接続しても認識しません。

そこで、xfs形式のフォーマットを認識する、UbuntuのLiveCDからパソコンを起動する必要があります。
UbuntuのLiveCDを利用するときは、こちら↓で作り方と使い方を説明しています。
参照しながらUbuntuを立ち上げてください。

Ubuntuを起動させ、HDDからデータを取り出します。
接続したHDDはUbuntuが起動すると自動的にマウントされ、左側のガジェットにHDDアイコンが表示されます。

RAIDで構築していないNASのHDDなら、このままアクセスできます。ところが、RAIDを構築したHDDの場合、そのままではアクセスできません。

手動でRAIDをマウントさせる必要があるのです。

RAID1のHDDをマウントする

RAIDをマウントするにはUbuntuのターミナル(端末)から操作します。
Ubuntu左上のボタンをクリックし、入力ボックスに「ta」と入力。
アプリケーションの中から「端末」をクリックします。

端末を開いたら、接続したHDDのパーティション構造を確認します。
もし、パーティション構造が確認できない場合、HDDに何らかの障害が発生している可能性があります。その場合、ミラーリングしているもう片方のHDDを調べてみましょう。

両方とも認識しない場合はデータ復旧できないので、専門の復旧業者に依頼することをおすすめします。

パーティションの確認には、GPartedを使います。
GPartedとはWindowsの「ディスクの管理」と同じような機能です。
端末を起動したら、まず「sudo su」と入力してEnterをクリック。
これで管理者権限になります。

次に「gparted」と入力→Enterをクリックします。

GPartedが開いたら、右上のプルダウンメニューから、NASから取り出したHDDを選択します。
HDD容量を手掛かりに特定します。

選択するとパーティションの一覧が表示されます。NASのパーティションはシステムやデータ領域など、6つ程のパーティションに分かれているのが普通です。
一番大きな容量をもつパーティションが、データ保持に利用しているパーティション領域です
この例では「/dev/sda6」がデータ保持領域です。
このパーティション名「/dev/sda6」をメモしておきましょう。

RAIDをマウントする

RAIDで構築したHDDをマウントするには、”mdadm”というプログラムを使います。
Ubuntuには入っていないソフトウェアなのでダウンロードします。
端末を起動し、「sudo su」で管理者になり、「apt install mdadm」と入力。
これで、自動的にソフトがダウンロード&インストールされます。

mdadmをを使ってRAIDデバイスとして認識させます。
「mdadm –assemple –run /dev/md0 /dev/sda6」と入力します。
最後の”/dev/sda6”はGPartedで調べたパーティション名で置き換えてください

mdadmでRAIDデバイスとして構築したので、HDDをマウントさせます。
このあたりの操作はWindowsユーザーには理解しにくい部分かと思います。
まずはデバイスをマウントするフォルダ(入れ物)を作ります。
適当な名前”/mnt/dev”で作成すればよいでしょう。
「mkdir /mnt/dev」と入力します。

フォルダ”/mnt/dev”にマウントします。誤操作を回避するため、読み込み専用モードでマウントしました。
読み込みはできますが、書き込みはできないモードです。
「mount -o ro /dev/md0 /mnt/dev」と入力します。

NASのデータにアクセス

画面上は何も変わりませんが、HDDがマウントされているはずです。
左のメニューからファイルアイコンをクリックしましょう。

「コンピューター」を選択し、「mnt」→「dev」とフォルダをクリックしていきます。

どうやらHDDは無傷だったようで、見覚えのあるフォルダ名が現れました。
ご覧の通り、NASのデータ領域にアクセスできています。
(完全にNASのRAIDボードが壊れたことが原因です。)

あとは適当な外付けHDDを用意し、データをコピーすればOK

データのコピーはWindowsと同じようにファイルをドラッグ&ドロップすればコピーされます。

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