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しばらく使っていなかったHDDの電源が入らない場合


しばらく使っていなかった(内蔵・外付け)HDDをパソコンに接続したら、全く起動しない場合の原因と対処法について紹介します。

原因

しばらく使用していないHDDが認識しなくなる原因は次の3つが考えられます。

  • 端子の汚れ
    各端子に埃が入り込み、アクセス不能になっている可能性が考えられます。
  • HDDベアリングの潤滑油が固着
    非常にまれなケースですが、数年単位で保管していたHDDは潤滑油が劣化して軸受が固着してしまっている可能性があります。
  • 電源回路の不具合
    外付けHDDは電源の劣化によって正しく電力が供給されていない可能性があります。

端子の汚れ

外付けHDDの場合はUSB端子やアダプターのDCジャック部に汚れが付きやすく、内蔵HDDの場合は通信コネクタや電源コネクタが汚れやすいです。

このような接点部分の汚れには、接点洗浄剤を綿棒の先に塗布してクリーニングしてみましょう。
ケーブル側、接続端子側の両方をクリーニングすると大変効果があります。
参照:USBやSDカードの接点不良は接点回復剤で解決

また、USBバスパワー(USBの電力だけで駆動するモバイルHDD)の場合は細いUSBケーブルや、USBハブを使っていると電力不足で正常に起動しないことがあります。意外と見落とされがちなので注意してください
↓このような巻き取り式のモバイルUSBケーブルは注意!
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また、各種ケーブル自体が断線している可能性も考えられます。
別のUSBケーブルに交換するなどして確認してみましょう。

HDDベアリングの潤滑油が固着

HDDは回転する円盤に情報を記録する仕組みになっています。
回転する円盤の軸受には潤滑油が使われているのですが、長期間保存すると潤滑油が酸化してしまい、硬いタールのように変質してしまうことがあります。
結果、円盤が回転しなくなり、データにアクセスできないという状態になります。

この場合、ドライヤーなどで30~40℃ほどに温めると固着した潤滑油が柔らかくなるので円盤が回転するようになるでしょう。

アクセスできたら、すぐにデータをすべてコピーしてバックアップを作成してください。
潤滑油が劣化しているので、長時間使用すると軸受が摩耗し、本当に動かなくなる恐れがあります。

電源回路の不具合

主に外付けHDDの電源回路部分が故障してしまい、動かなくなってしまうことがあります。
これは、電源部分にコンデンサーと呼ばれる消耗品を利用しているためで、電解液の蒸発や液漏れによる劣化が主な破損原因です。おおよそ10年で寿命を迎えるといわれています。

この場合、アダプターの破損が考えられるのでまずはアダプターを交換してみましょう。
アダプターにはこのように電圧と電流それにDCジャックの極性が書かれています。
同じ電圧、同じDCジャックの極性のアダプターを購入しましょう。電流は記載値以上であれば問題ありません。
アダプター 12V」などのキーワードで簡単に探すことができます。

アダプターが内蔵されているHDDや、アダプターを交換しても起動しない場合は、ケースを分解してHDDを取り出し、パソコンに接続することでデータを取り出すことが可能です。

ただ、外付けHDDの分解方法は機種によって様々で、基本的にマニュアルにも記載されていませんから非常に厄介です。また、分解中に衝撃を与えてしまうと内部のHDDにもダメージが加わりますから、慎重に作業しましょう。

↓根気よく作業すれば本体ケースからHDDを取り出すことができます。
このように外付けHDDを分解すると、HDD本体と、外付けユニットが入っています。

取り出したHDDを、USB変換ケーブルを使ってパソコンに接続します。
自動的に認識するのですぐにデータをコピーしましょう。

その他の原因

もし、どうしても認識しない場合はHDD本体が破損している可能性があります。

特に、HDDの制御基盤が破損していたり、記録ディスクに何らかの損傷が発生している場合、個人でデータを復元することが不可能です。
特に、HDDに通電してから「カランカラン…」、「カラカラ…」という異音が聞こえたら、非常に高い確率で物理的な不具合が発生しています。

このようなときはすぐに電源を切り、データ復旧センターに問い合わせる事をお勧めします。
もし、見積もりが高額だった場合、そのままHDDを保管してください。
技術進歩によりどんどん復旧料金が値下がりしているので、数年後はもっと安い料金で復元できる可能性があります。
ただし、これは優良業者に見積もりした場合で、技術力のない悪徳業者に見積もり依頼すると、検査の段階で症状が悪化させてしまう業者も存在します。是非、このような悪徳業者には見積もりを出さないように注意してください。
>>信頼できるデータ復旧業者の見極め方

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